作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏のラジオでの発言を中心にまとめたブログです

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【佐藤優】ISの拡散により、諸大国の対立の激化を語る【くにまるジャパン極】

投稿日:2017年7月2日 更新日:

2017年6月30日放送の文化放送ラジオ『くにまるジャパン極』にて、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏がIS無き後のイラクと世界の情勢を語った。

ラクのアバディ首相は29日、過激派組織 IS(イスラム国)が最大拠点としてきた、北部モスル中心部にあるヌーリモスクを奪還したと発表しました。

このモスクはIS の最高指導者アブバクルバグダディ容疑者が説教をするなど、ISによる支配を象徴する場所として使用されてきました。

イラクのアバディ首相は奪還を受けて 、ISによる偽りの国家は終わったと宣言しました。

イラクを追い出されたISはエジプト、中央アジア、フィリピンへ行く

(野村邦丸)このまま鵜呑みにして良いのだろうかということで言うと、佐藤優さんが以前から、「嫌な予測だけれども、一つの集団が一つのエリアに固まっていれば良いけれど、そうではないんだよね。」という事言ってましたよね。

(佐藤優)拡散し始めて来ましたね

(野村邦丸)はい。

(佐藤優)それですから今、危なくなってくる地域は一つはエジプト。それから中央アジアの特にタジキスタンとキルギス。さらにフィリピンのミンダナオ島になってきています。

だから半分空気の入った風船で上の方をギュッと閉めて今、イラクが閉められた。

そうとしたら下の方に空気が行ってしまう。

このような感じで、あちこちが拡散してるということです。

対ISの真の勝利者はイラン

それからともう一つ。

報道では見えてこないんですけど、真の勝利者は誰かということなんですよ。

イランです。

(野村邦丸)イラン。

(佐藤優)はい。イラク政府軍がイスラム国を駆逐する背後においてはイランの革命防衛隊が制服を着替えて、現地に軍事顧問で行くと。

こういう形での力はものすごいあります。

すると、あの地域でイランの影響力が拡大してるというのは、サウジアラビアとの関係が緊張してきますよ。

だから今度は、宗派間をベースをしたところでの戦争のリスク。これが出てきます。

IS後は、イスラム教内の宗派対立が激化

(野村邦丸)よく言われるシーア派とスンニ派ですね。

(佐藤優)サウジアラビアのイラクに近い方は、実はシーア派結が構いますからね。

そうするとイランの影響力の拡大がどういうゲーム になるか。

オバマ政権の時は、「イランと仲良くやってこう」という事だったんですよ。

トランプは、「イランといっちょ事構えてやるか」となるから。

サウジアラビア・アメリカ対イランの代理戦争も

イラクをめぐってサウジアラビア・アメリカ対イランといった代理戦争的なものが起きる可能性ありますね。

(野村邦丸)代理戦争になった場合、シリアとしても代理戦争と既に言われていますけれども、具体的にサウジアラビア・アメリカ連合とイランが尖った所でぶつかったりする場合、どんな影響が出てきそうですか

(佐藤優)(イラク内での)内戦です。再び。

イスラム国との戦いというのは、シーア派・スンナ派共にイスラム国は駆逐しないといけない。こういう考え方ですよね。

今度はシーア派対スンナ派の戦いになってくると。イラクの中で。

この危険がありますね。

(野村邦丸)同じイスラム教の中での宗派同士の対立になってくると、イランは今までロウハーニー大統領がアメリカと上手く国際協調やっていこう。

何を言ったって核開発を止めるておこうということになってましたけど、ひょっとすると裏返る可能性はある

(佐藤優)裏返る可能は性十分あります。

この前、ホメイニ廟が攻撃されて、死者がだいぶ出ましたね。

その後、イラン政府の発表で犯人を国外で中立化したって言ってました。

(野村邦丸)犯人を国外で中立化。

(佐藤優)中立化というのは攻撃するという意味ですね。

だからイランのイスラム革命防衛隊が、外国まで出ていって、おそらくイラクですよね。

それで攻撃。

だから国境なんか関係ないと。俺たちの仇をなすものは国境を越えて、攻撃してやると。

結構怖くなって来ましたよ。

(野村邦丸)それは佐藤さん前おっしゃていた中東戦争につながる可能性も出てきた

(佐藤優)出てきました。

争いは中東だけにとどまらず中央アジアへ

しかし中東戦争だけでは終わらないで、アフガニスタンとか中央アジアとかどんどん拡大していく可能性がある

とりあえずは宗派間対立なんだけれども、必ずアメリカとの対立になって行きますから。

そうすると物凄く中東情勢が不安定になる可能性があるのですよ。

乱暴の言い方しますけど、シリアも含めISという共通の敵があったので

ロシア・イラン・トルコ・イスラエル・アメリカ・サウジアラビアがとりあえずまとまることできていたんですよ。

ところがイスラム国が無くなってしまうと、今言った国はそれぞれの思惑が全部違いますから。

そこのところで代理戦争的なこと、自分たちの利益代表のグループを作りだしてさらにドンパチさせることが起きてきます。

ロシアとアメリカの不思議な関係性

(野村邦丸)ロシアとアメリカはどういう立場になって来るんですか

(佐藤優)ロシアとアメリカに関しては基本親分同士は握りたい、仲良くしたいと。

しかし、下部の軍であるとか、情報機関というのは「ふざけるな」こういう気持ちになってる。

この複雑なところすでよね。だからこれも予測が難しいわけなんです

一体、ロシアとアメリカの関係はオバマ政権の時と比べて良くなったのか、悪くなったのかと。

結論わからないんですよ。

ロシアゲートが出てきて、悪くなってる側面はあるんだけれども、首脳間の関係は極めて良好と。

(野村邦丸)プーチンさんトランプさんね。

(佐藤優)それからラブロフ外務大臣とティラーソン国務長官の関係も良好と。

ありえないんですよ、普通。

ロシアゲートとかあったら、国の頭から大喧嘩になるはずなんですよ。

わからない。

ほんとに変な感じ

(野村邦丸)当然、そこにイスラエルが関わってくるんですよいね。

イスラエルとイランというのは、犬猿の仲ですから。

そうなってくるとイラクが何かしら挑発をしてきた時のイスラエルの出方はどうなるのですか。

イスラエルとイランのバランスが崩れ始める

(佐藤優)イランの挑発は、おそらくはシリアとレバノンを通じて起きてくるわけですね。

シリアとレバノンで、例えばレバノンのゴラン高原を取り戻そうという動きをシリアが示すとか。

でもこはまずあり得ないです。

というにはアサド政権がある限り(イスラエルとイランは)「最愛の最も愛し合ってる敵」なんですね。

よく理解しているわけなんです。

だから 現状維持をすることがお互いにとって得と思っているわけなんです。

ところレバノンの南部にいるシーア派のヒズボラは、イスラエルを無くすということに本当に戦略目標にしていますから。

「そこまでやれ」とイランが指示すると、本格にカチューシャ砲が集中してイスラエル北部に飛んでくる。

そういう風になると、イスラエルの北部にある飛行場から国籍がついてない真っ黒な無人飛行機が飛んでくる。

それでレバノンのベイルート、首都まで来る。

そこにヒズボラたち、シーア派の居住地区があるんですね。

そのリーダーとかの家をめがけてミサイルを打つ。

それで特定の人物の顔認証して排除していく。このような事がおきてくる。

すごく不安定になりますね。

(野村邦丸)IS という共通の敵が分散し始めてきて、危険なことですよね

(佐藤優)分散も危険。

フィリピンは既にISの拠点に

だからフィリピンの場合はドゥテルテ(大統領)が、ダバオの市長でいるときに、もう既にそういった兆候があるんだけれども、来るとみんな排除していたの。

それだから拡散しなかった。

ドゥテルテさんが今、忙しくなっちゃった。

大統領になってミンダナオま行って戦闘の指揮が出来ないと。

そういう風になったら(ISが)入って増殖しちゃった。

今はフィリピンとインドネシアとマレーシアでミンダナオ島の北部で、たしか19日から共通警備をしてるというのは、

一般の報道だと「入ってこないように」と言うことなんですけど、逆だと思う。

もう(ISの)拠点が出来ちゃったから、出て行かないようにするため。そのための共同海上警備やってる

(野村邦丸)封じ込めですね。

(佐藤優)だから事態はそこまで深刻になってる。

中東においてはイスラム国が無くなったことによって諸大国の対立が激化する。

いなくなってイスラム国は、種があちこちに拡散して、芽を出し始めている。

こういう状況ですね。

良いことは何もない感じです。

悪い状態が、別の形の悪い状態になってると。こういう感じですね。

(野村邦丸)依然として状態は悪いと。

〈書き起こしおわり〉

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