作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏のラジオでの発言を中心にまとめたブログです

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【佐藤優】共謀罪への賛成理由と、運用の危うさを語る【くにまるジャパン極】

投稿日:2017年6月28日 更新日:

2017年6月16日放送の文化放送ラジオ『くにまるジャパン極』で、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が共謀罪について語った

 

共謀罪の構成要件を改めて、テロ等準備罪を新設する「改正組織犯罪処罰法」は昨日朝の参議院本与党会議で採決され、自民公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決成立しました。

「共謀罪」か「テロ等準備罪」かそれが問題だ

(野村邦丸)佐藤優さん。

この共謀罪関係のことについて、今までずっと発言を控えてこられました。

(佐藤優)あ〜、一回だけ週刊金曜日に聞かれて言わざるをえなかったことがあります。

今この場所でね、 「共謀罪」と言うか「テロ等対策法」と言うか、それだけで立場はわかるわけですね、その人の。

この話ってポジショントークになっている

(野村邦丸)ポジショントーク。

(佐藤優)自分の立場を決めてそこに理屈付けをしていく。

その理由は何かといったらテロに対してどうするかと言うのではなくて、安倍総理が好きか嫌いか。

今の自公政権を支持するか、しないかというところで、この問題というのはスパッと別れてるから、まともな議論がされてないと思う。

(野村邦丸)本質的な内容ですね。

 

従来の過激派と今起きてるテロとの違い

(佐藤優)私は本質的な内容はこう考えるんですよ。

まず、今起きているテロというと言うのが、従来型のテロと違うんだということ

たとえばね、共産主義系の過激派ってありますよね。

(野村邦丸)この前中核派の一人がね(逮捕された。)

(佐藤優)そこは暴力革命を主張して、それで政権を打倒しようとしていると。

そういった事を、心の中で考えてるんですよね

しかも中核派だったら『前進』という機関紙があるから、『前進』に書く。

昔出ていた雑誌で『武装』なんてのがあった。

そういった雑誌に「現在の政権倒す」と書く。

しかし、実際に武装蜂起をするか。

実際に暴力主義的な革命運動に着手するかといえば、その間に距離があるわけですよ。

(野村邦丸)はい。

(佐藤優)だから内心の問題と表現の自由は完全に守られた。

現在のテロは「思ったらすぐ行動」

ところがね、イスラム 国型っていうのは「思想即行動」なんですよね。

(野村邦丸)うん。

(佐藤優)ジハード戦に参加しろと。

例えば自殺願望の強い人間のところで

「自殺?それは人生の敗残者のやることで惨めな生き方だな。お前のこと誰も覚えてない。」と言う。

「しかしな、命を捨てるという行為は偉大なのだ。」

「それによって扉を開けろ。」

「そしてお前は天国に行って永遠に生きる。」

「さあ、自爆テロに行こう」と。

こういうやり方してるわけですよ。

(野村邦丸)爆弾をつめたチョッキを着ろと。

(佐藤優)そうすると、思っている事と行動の距離が物凄い近いわけですよ。

思ってきて表現して、それとちょっと誘いかけると。

そしたら、そのかなり早い段階まで踏み込んでいかないといけない。

極端なこと言うとね、この人は何考えているのだろうか、内心の問題ですよ

政府の対応 1「盗聴」

具体的な所においては、これから多分二つ深刻な問題が出てくるんだけども。

一つはね、行政傍受

(野村邦丸)行政傍受。

(佐藤優)それで、共謀に関して目配せしたとか、どこかの居酒屋で上司あのやろうやっちゃおうと言ったら捕まるとか、そんなもの現実としてありえない。

そんなことでは広範囲にできない。

電話の盗聴ですよ。通信傍受ですよ。

今の通信傍受は、裁判所の令状がいるの。

一昔前までは裁判所の令状が要って、立ち会いが通信会社の人だった。

今は、立ち会いは警察官で構わないとなっている。それ自体問題なんだけどね。

しかし、令状自体がが面倒くさいと。

「行政傍受」というのは警察が自分の判断で盗聴したって良いという話なんです。

この「行政傍受」をやろうという話しは必ずなってきますよ。

 

政府の対応 2「テロリスト検索エンジン」

それからもう一つ。

これはね、「検索エンジンシステム」の開発。

(野村邦丸)はい。「検索エンジンシステム」の開発。

(佐藤優)テロを起こす人間、特に自爆テロで出撃する人間というは、最後に決意表明文を書くんですよ、当日か前日に。

それにはパターンがあるわけ、言葉の。

それをインターネット上に出して宣伝に使うわけ。自分はこういう決意で自爆テロやると。

それを検索エンジンでチェックするでしょ。

イスラエルからこの前来た友人から聞いた話だと、20分ぐらいで見つけられると。

(野村邦丸)イスラエルでは

(佐藤優)そう。今、だいたい。

それで、話し聞かせてくださいって完全武装した警官が20人ぐらいで行くわけ。

そういうような形で話を聞いて、 もしイタズラでやっているとしたらものすごく厳しく注意して、そこでお終いだけれども。

もしこれ実態として計画してたということが分かったら、そこで拘束しちゃうということをやっているわけ。

それでテロがかなり防げている。イギリスもそう。

(野村邦丸)この前5・6件のテロを未然に防いだというのはそういう事なんですか。

(佐藤優)そういうこと。

検索エンジンシステムと、事実上の予防拘禁みたいな。

個人の思想信条に踏み込まないとテロは防げない

これはだから人間の内心の自由を侵害すると、物凄く深刻な問題があるんです。

他方ね、テロを現実的に対策するのだったら、私は暴論と言われて非難される思うけども、

これは人間の思想信条の問題にある程度踏み込まないと、(テロを未然に防ぐのは)もう無理。

実際、イギリスでもをロシアでもイスラエルでもそういう体勢で対応してる。

となると、この問題に関してはテロの脅威がどのくらいあって、そのためには一定内心に踏みこまざるを得ないと。

何をもって一般人とするかというのはあるけど。

一般人が突然、イスラム国に感化されて、わずか一ヶ月位で自爆テロリストになる例なんて、ものすごいあるんですよ。

そこに網をかけないとテロは防げないですよね。

(野村邦丸)それが、個人テロは今回の共謀罪ではなかなかカバーしきれないということに対しては、佐藤さんはそこまであった方が良いということですか

(佐藤優)

そこまでやった方がいいかって言うことになると、テロの脅威がどれだけあるかとうことなんだけれども。

もしテロを防ぐという事だったら、そこまでやらないとならなくなるわけなんんです。

私は、そこは踏み込まざるざるを得なくなると思っているのですよね

その場合、もうインターネット見て、ここの組織の趣旨に共鳴して、賛同と思ったら、そこで合意がしたと。

コンピスタシー、一種の陰謀にかかったんだって。

共謀というのはイコール陰謀ですからね。

そういうふうになるのかもしれない。

国家の安全か、個人の思想信条の自由か

ただこれは法律専門の見方だけども、(内心に踏み込む事)にものすごい危うさがあるわけ

一方で、脅威の性質が変われば、国家として新しい武器を持たないと、その脅威に対抗できないというのがある。

しかし国家権力からすれば、現政権を倒そうとしているのは全部テロリストの仲間みたいなものですからね。

だからそれを恣意的に運用して、国民の権利・自由、すこしでも政治に触れて政権批判をしたら、そこにくるという可能性もあるという。

この2つのモノを天秤にかけてどちらが重いかという話事なんですよ

佐藤優の限界

だから私は率直に言ってね、ある意味私の限界なの。

ロシアでチェチェンをきっかけとするテロの多発を見ているでしょ。自爆テロリストたくさん見ているでしょ

イスラエルとの付き合い深いでしょ。イスラエルの自爆テロ見ているでしょ。

そうすると、テロを防ぐにはかなり踏み込んだ手段をとらないといけないと思ってるわけ。

それは私の偏見があるわけ。

ただ人間は、自分が生きてきて、自分が見てきたとこの偏見からからなかなか離れられない。

他方ね、今度は腹くくって、ある非常にリベラルな論壇で活躍しているお医者さんと話をしたんだけども、

いや逆に、それは仮にテロはあったって内心には一切踏み込まないと。私そこまで腹をくくるべきだと思うと。

それは一つの考え方だと思う。

 

それについて政府はね、「脅威の性質が変わったんだから、今までにない広範な権力を警察に渡しますよ」と。

しかしそれは乱用をされる危険がある

その両面について国民の代表である国会で、オールジャパンでどうやってテロを防ぐかっていう観点、どこまでが必要かという議論してくださいって、やって欲しかったんだな。

だから、与党の中でも野党でも党議拘束かける必要ないと思うの。

すごく大変な問題で、その人の価値観や思想観・宗教観が全部が関わってくる。

その上で、確かに「効果的」しかしそれは「濫用の危険性」はものすごくある。

この両方について、もっと徹底的に議論して、マスメディアも徹底的に議論して欲しかった。

(野村邦丸)うん。

 

現在の法律は全くの役立たず

(佐藤優)現行法では全然大丈夫ではない。

それは実際に、イスラム国へ人を送り出しを具体的にやっていたところに、阻止するために「私戦予備及び陰謀」なんていう、西郷隆盛対策で勝手に軍隊作ったらいけません何て言う法律を適用して、しかも家宅捜索しか出来なかったっというのは、

これもう現行法体制の不備があるのは間違いないですよ。

この問題というのは、感情を排してもっとプロフェッショナルに論議しないといけないんだけども

今名称からして「テロ等対策法」と言う人と「共謀罪」って言う人で、その言葉どっち使うかって言う瞬間にポジションわかるなんて言う。こんなのはもう正常な議論じゃない

(野村邦丸)入り口がもう違ったってことですね

(佐藤優)そう。

だから、きちんとやり直さないと。

 

テロを防ぎつつ、権利の暴走にならない用な法律の運用

しかし出来ちゃった以上はそれをベースとして濫用を許さないというのと、これで本当に効果的なテロ対策ができるのか。

そこに議論を移していく必要があると思いますね。

(野村邦丸)昨日、石破茂さんも問題は運用なんですよいと、何回かおっしゃていたことを記憶してますけども。

この際法案は成立しましたんで、この先にその運用のチェックということが必要なんだと

(佐藤優)それからあともう一つは効率的に運用して、本当にテロ阻止できないようではだめですからね。そちらの運用の方も考えなくてはいけないと

大変な岐路に日本が今、来ているんです。

〈書き起こしおわり〉

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