作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏のラジオでの発言を中心にまとめたブログです

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くにまるジャパン トランプ

【佐藤優】トランプ大統領の行動原理とEUとの関係を語る【くにまるジャパン極】

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2017年6月2日放送の文化放送ラジオ『くにまるジャパン極』にて、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏がアメリカのパリ議定書脱退について、トランプ大統領の動機とEUとの関係、日本国内の動向を語った

アメリカのトランプ大統領による地球温暖化対策の新たな枠組みパリ協定からの脱退証明を受けドイツ等ヨーロッパの3カ国は6月1日、協定の再交渉を拒否するとした共同声明を発表しました。

共同声明を発表したのはドイツの他、フランスとイタリアです。3カ国は声明で、アメリカの決定を遺憾に思うとした上で、トランプ大統領の求めているパリ協定の再交渉には応じられないとしました

又、3カ国はパリ協定が定める温室効果ガスの削減目標の移行に向けて決意を表明し、 発展途上国や気候変動による脅威にさらされて国の為に努力を加速させると強調しました

トランプ大統領は環境問題を分かっていない

(野村邦丸) これイギリスのEU離脱と同じように、即められるかと言う話では無いようで、準備期間が必要です。

(佐藤優) そうです

(野村邦丸) どうやら準備期間は4年かかるというのですね。ですからトランプさんの一期目の任期が終わった後に、新大統領が脱退表明をするような事になってしまう。

それにしても、アメリカの脱退表明に関して、ドイツのメルケルさんは怒り心頭になっているし、ヨーロッパと中国がこれからの地球環境の動きを引っ張って行く形になる、アメリカは取り残されるぞと。

(佐藤優) おっしゃる通りです。ですからアメリカとしては重要なカード持っていたのを失いつつあるということですよね。それからね、パリ協定から外れたら逆にビジネスチャンスを失うということをわかってないですよね。排出権自身と言うのはビジネスになりますから。だから「カーボンカレンシー」なんてことイギリスは考えたわけですから。

(野村邦丸) 通貨なんだ

(佐藤優) 通貨にしちゃう。(CO2排出は)マイナスの物のやりとりだけども、そこにお金を絡ませればいいわけですから。そうするとトランプ自身はそういったビジネスチャンスを無くすので、この仕組みが分かっていないんですよ。

その結果どうなるかって言うと、(アメリカは)プレーヤーで無くなると共にヒンシュクを買う。アメリカにとって良い事は何にもないですよね。

トランプ大統領は「選挙バージョン」と「現実的バージョン」の2つがある

(野村邦丸) この前のサミットが終わった時に、アメリカ政府関係者からはトランプ大統領も今回の議論と言うのはよく理解して、彼は学んだはずだと言うメッセージを出してたけれども。

(佐藤優) それはね、トランプはトランプバージョン1とトランプバージョン2があるんですよ。

(野村邦丸) パソコンみたいですね

(佐藤優) 両方合わせているから起動しなくなるのですよ。バージョン1というのは選挙対策。バノンとか不思議な人達ね。壁作るとかあるいは今回のパリ議定書から離脱というのはバージョン1の発言ですよ。

バージョン2の発言は、エルサレムへの大使館の移転を延期するとか、こういう(現実的な)ものはバージョンズ2の話ですね。それでクシュナーと言う義理の息子さん、この人なんていうのはバージョン2で、今回のパリ議定書のアドバイスをしたわけですよ。そしたらお義父さんは「分かった」と言うもので大丈夫かと考えてたらバージョン1に戻っちゃった。

最後の耳打ちで影響される政治家

おそらく最後に誰が耳打ちをしたかというのが決定的に重要なんですよ。政治家でそういうタイプの人っているんですよ。最後に誰かこそこそ耳打ちしてこれがいいんですと言われると、そうだなとなっちゃう。日本でも細川護煕さんとか、鳩山由紀夫さんとか最後に耳打ちをする人の意見に引っ張られやすい。だからトランプさんも多分そうなんですよ。最後バージョン1の「やっぱやめたほうがいいですよ」「あーそうか」とこんな感じだったと

(野村邦丸) バージョン1は選挙の時に過激なことを言って、実際は大統領になったらそうはいかないだろうと言っていながらやっちゃってるわけですけど。最後にささやいた人、これはずっと右腕と言われているバノンさん。

選挙対策と現実路線のアプリがコンフリクト(競合)

(佐藤優) それに近い人達だと思いますよ。私の推定ではね。結局、バージョン1からどうして離れられないかと言うと、中間選挙があるからですよ。

(野村邦丸) 来年ですよね。

(佐藤優) はい。その意味においては、トランプさんていうのはバージョン1とバージョン2が行ったり来たりしてるから、時々アプリが起動しなくなるわけですね。

(野村邦丸) はいはい。バージョン1.5になってしまう。

(佐藤優) バージョン1.5、存在しないアプリになっちゃうんで、そこのところで大混乱が起きるわけですよ。だからある時は動くんだけれども、ある時は誤作動して変な数字が出てくるとか、ものすごく変な大統領になっていますよね。

 

(野村邦丸) そこで伺いたいのは、トランプ大統領はロシアゲートも言われています。娘婿であるクシュナーさんをFBIが呼んで、かなり深いところまで事情聴取をするんじゃないかと言われている中で、来年は中間選挙ありますね。共和党は今議席が多いですけども。その共和党内でも、「トランプやばいよと」言う声が出始めている

でもなんとか逃げ切ったんじゃないかと佐藤さんおっしゃってましたけど。今どうですか

(佐藤優) 逃げ切るような感じがしますね。

「今(トランプ大統領は)いじめられている。共和党の中も、FBIも、今の世の中のエリートで既得権益者たちにいじめられている」って。「マスコミも束になっていじめていると。」こういう考えをしている。

日本でいたでしょう。涙をポロっと流しながら「私を何をしたんですか」みたいな。指輪を無くしたとか言って暴れたりね。あの人と同じ戦術ですよ。田中真紀子さんがあれだけガチャガチャしたことをやって、指輪無くしてやっぱり自分の袋に入っていたとか、9.11の後アメリカの国務省が逃げている場所を明らかにしたのか。(田中真紀子が)あれだけやったのに残ったと言うのは、結局は大きな声で「私、いじめられているの」と言ったら国民がそれに反応したからなんです。

トランプも同じですよ。「僕、いじめられている。既得権益記者たちにいじめられている」そうだなという岩盤が(支持率)35%くらいある。

(野村邦丸) 揺るがないんですよね。

(佐藤優) それは何かに対して怒っている人達。「状況はよく分からないど、もう絶対にトランプ。だって体はってんだからな」こういう感じですよ。これは理屈が通じないですから。

(野村邦丸) そう言ってる間にドイツのメルケルさんが相当火花散らしたと言われてますけど。なんでメルケルさんは(トランプ大統領に対して)そんなに怒ったんですか。

(佐藤優) 理屈が通じないからですよ。プーチンとかに関しては、理屈の上に議論をして折り合いをつける。(トランプは)「状況はよくわからないけれども、俺が絶対正しいからな、わかったろう」

(野村邦丸)ははは

(佐藤優) こういう感じだから議論できない。

(野村邦丸) (ドイツは)非常に危機感を感じていると言うことも報じられてますよね

(佐藤優) 危機感を感じてると同時に、これ大丈夫か?と。特に世界経済ですよね、こういう人とやって行っても。トランプは外した方がいいんじゃないかと。こういう感じになってるでしょうね。それでドイツとかフランスの官僚たちも、今アメリカの色々な官僚と接触してる思いますよ。政治がこんな感じだから官僚同士はきっちりやっておこうと。

イギリスのEU離脱で仲介者不在

ここで残念なのは、イギリスが今EUから離脱しようとしてるところなんですよ。

本来であったらイギリス人はアメリカ人の感覚がよくわかりますから。ドイツ人とフランス人は分からないんですなんでトランプに岩盤の支持が35%もあるのか。イギリス人は分かるんです。イギリスが仲介に立つとうまくいくんですけれども、イギリスはEUとの間で仲介できるような状態じゃないですから。これが非常に不幸ですね。

NATO分離リスクをトランプは分かっていない

(野村邦丸) そうすると官僚同士でやっていても、理解度がフランスとドイツは違うかもしれませんけども。このまま行くと経済もそうですけど、安全保障の面で見ても今後どうなって行くのですか。

(佐藤優)  NATOを崩したらえらく面倒くさいっていうのみんな分かってますからね。ただトランプがもっとお金を出せなんてこと言ってくるかもしれない。

(野村邦丸) 実際NATOの主要首脳会議で「お前らもっと金出せよ」っていうこと言ってるわけですよ。

(佐藤優) 「じゃあ、いいよ。NATOとは別にヨーロッパの共同防衛体制を作るからアメリカ出てくれ」とフランスもイギリスも核持っているんだから。それでヨーロッパだけで体勢を作るなんて事になったらアメリカはすごく困るんだけども、トランプはそこまで考え及ばないんですよ。ですから、ドラえもんのジャイアンがそのまま大統領になったと思えばいいと思います

(野村邦丸) 言ってましたよね。

(佐藤優) だからジャイアン化がいっそう加速してる感じですよね

(野村邦丸) 困ったですね。

日本国は国内問題でごまかせられるな

(佐藤優) 困ったんだけれども、他人の家のことだから手突っ込めないですよね。わが国だってめんどくさいこと見ないでしょ。例えば京都議定書の経緯があるんだから本当は1番拳を挙げてて言うのは日本なんですよ。でも加計学園でそれどころじゃないでしょう、政権は。地球温暖化とか国際政治ところじゃない。政権があって初めて国際政治があるんだとこんな感じですからね。

(野村邦丸) 何か良い方向には全然やっぱり結びついてなくて、今年の年頭で佐藤さんがおっしゃったのは世界的にも国内的にもどんどん状況が悪くなってくる。

(佐藤優) その通りですよ。ただ他国を見て我々ほっとするわけですよね。

「北朝鮮よりは日本はいい国の感じがするなぁ」とか「安倍総理も、プーチンさんと比べれば優しい感じがする」とか

(野村邦丸) 比べる相手ちょっと悪くないですか。

(佐藤優) 「ドゥテルテさんと比べれば強権発動は無いよな」とか。あっちこっちと比べてみて日本はいい国だなぁとそう思うわけですよね。

(野村邦丸) あんまり良い比較じゃないですよね。

(佐藤優) そういうのしか周りにいないわけですよ。

(野村邦丸) それが現実ですよね

(佐藤優) それで今度、真打でトランプさん出てくるわけでしょ。今、アメリカに住みたいとあまり思わないものね。だからそんなような国際情勢になってから本当にいやなんですけれと。でも生き残らなくてはならない。

気をつけなくていけないのは、だから国内のことには目をつぶりましょう、「いいじゃないか加計学園くらい。」「獣医学部を一個できる位で地元も望んでるんだし」こんな感じで割り切らせようとする動きが出てくると思うんですよ。これだめですね。それはそれこれはこれです。

(野村邦丸) その一歩許したことによって、どんどん許しが広がって行ってしまうとあらぬ方向に行ってしまう。

(佐藤優) その可能性あるんです。

だから官僚と言うのは本当に物事あまり考えない、ルーチンしかしないと。怖いと言ってたかだか人事権でしょ。命を持っていかれるわけじゃないし。特捜に捕まるわけでもないから。(官僚は)もう少し一生懸命やればいいですよ。自分達の信念に従って。

(野村邦丸) 官僚の奮起というのは必要になるでしょうね

(佐藤優) 特捜に捕まったって、そんな大層なことないですから。

(野村邦丸) ラジオに出てらっしゃいますからね。

(佐藤優) それから食事も悪くないですね、東京拘置所。

(野村邦丸) ハハハ

〈書き起こしおわり〉

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