作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏のラジオでの発言を中心にまとめたブログです

主任分析官ブログ | 佐藤優発言集

くにまるジャパン 佐藤優 北朝鮮

【佐藤優】北朝鮮の核をアメリカは容認!?北朝鮮への次の一手はこれだ

投稿日:2017年9月16日 更新日:

2017年9月15日放送の文化放送ラジオ『くにまるジャパン極』にて、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が、日本の北朝鮮ミサイルへの対応と今後の外交戦略を語った。

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北朝鮮が日本時間の9月15日午前7時前に弾道ミサイルを発射しました。日本政府は j アラート全国瞬時警報システムを通じ東日本12道都県で避難を呼びかけました。

ミサイルの最高高度はおよそ770 k に達し飛行距離はおよそ3700キロと推定されます。北朝鮮のミサイル発射は先月29日に北海道の上空を超える中距離弾道ミサイルを太平洋に発射て以来で制裁圧力を強めるアメリカに屈しない姿勢を保持する狙いがあるとみられます。

アメリカは北朝鮮への制裁を強めているふり、アメリカ北朝鮮は二国間交渉に

(野村邦丸)佐藤優さんはアメリカが制裁圧力を強めているという事に大きなクエスチョンマークをつけてる。

(佐藤優)アメリカが制裁圧力を強めているとは到底見えないですね。この前の国連決議に関しても、石油の輸入を3割減らすということにしても、北朝鮮は党指導部と軍用の油は備蓄してますから。そのしわ寄せては民衆に行くだけですよ。特に病院の燃料が足りないことになって、救うことができる人がたくさん死ぬと思いますよ。

また北朝鮮が外貨を稼いでる外国人労働者、これは意外と面倒くさい。中東での土木工事、地下工場や独裁者が地下に隠れてるといった施設を作っているんですよね。現在の契約は有効で、契約が切れたら返すということなんだけども、契約更新しない、返さないとどうやってチェックできるのか。そもそも契約書はどこでチェックできるかとあるわけですよね。

さらに公海上での臨検は、その船が所属する国の了承を得て臨検すると。北朝鮮が臨検に応じるはずがない。

だから激しい言葉を並べるんだけども実際に何ができるのかと考えると、できないわけですよ。しかも金正恩の個人に対して渡航禁止、外国に行けないとか個人資産を凍結することは見送りになった。その結果スイスやロシア、中国に隠しているお金はそのまま使えるし、石油を3割減らすんだけれども、そのしわ寄せはどうぞ北朝鮮の国民の皆さんに、こういう感じで全然制裁強化になってないと私はみている

何でこんな事しているかというと、アメリカも分かっている。制裁・激しい非難をやってみたけどできませんでした。だから二国間交渉に入ります。

(野村邦丸)米朝、トランプと金正恩。

(佐藤優)その結果、核を容認して中距離弾道ミサイルまで認める。日本までは(核ミサイルの射程に入って)良いと。「仕方ないもう止められない。そのかわりアメリカまでは核ミサイルは来ないでね」と、長距離弾道ミサイルだけは辞めるって言う取引に入る流れの一環ですよね。

日本政府の抗議で「最高の厳しさ」という言葉で「最高」が3回続いてるでしょ。「最高」がいくつあるんだって話ですよ。結局いつもと同じことじゃないですか。

Jアラートで日本経済を停滞させるのも北朝鮮の狙い

29日は発表で小野寺防衛大臣が2分間日本の「領空」を飛翔したと言いましたよね。あたかも領空侵犯の様な雰囲気を醸し出し、なおかつ国際法の話をしましたよね。

地上から80から120キロ超えると宇宙空間になって、そこは(領空侵犯に当たらず)自由に使える。

 

(野村邦丸)領空では無い。

(佐藤優)はい、領空では無い。今回は北海道「上空」と言って領空と言っていない。だから(ミサイルが)頭上を通ったらいけないという素朴な国民の感情に訴えて、国際法の世界においてはある高さを超えると自由に使えると言う事を説明しないとかね。なんかちょっと嫌な感じするんですよね。

それから「落下した模様」だと。これ日本の追跡能力だったら、途中で燃え尽きたのか、落下したか確認できますよ。燃え尽きたのなら燃え尽きたと言うべきで、燃え尽きたならば危険水位を設定してなくても、国際法違反ではないですから。

そういった国際法の専門的な知識を使った場合において、29日は過大にやりすぎた。今回起きてることは(29日と)同じですよ。それなのにこんなに大人しいと。逆に大丈夫なのかって感じしますよね。だから前回、パニックを起こしてたってことの証明なんですよ。むしろ。

それからリスナーの皆さんからお叱りを受けるかもしれないけど、Jアラートに関してどういう状況で鳴らすかという事だけれども、この種のことでは鳴らすべきでない。なぜならば、鳴らすと電車も遅れる。或いは事業所では仕事を見合わせる。29日は学校で勉強を一日休校にしたところもあった。それによる経済教育への損失がどれぐらいあるか。それも北朝鮮の目的です。だから軽々に j アラートを鳴らすことによって、それで経済に停滞を与える。そのことも北朝鮮の狙いですから、それに乗らない。jアラートに関しては専門家的な見地でミサイルの高度を見れば日本国内に落ちないのは分かるはずですから。

日本の上空を通るんだったら毎回鳴らす、しかも12道県で鳴らすっと言うものすごく幅の広いところでやる事がもたらす、経済的教育的なマイナスも北朝鮮の狙だってことなんですよね。

だから北朝鮮に対して毅然と対処するって言うことは、不必要に怯えないという事かと思うんです。

韓国が770 Km 上空を飛んでると発表した。その軌道の航跡は簡単に分析できます。そこに落ちる可能性がないときには、黙って政府内だけで情報を共有して、国民には落ちてから報告すれば良いんです。私はそう思いますね。

日本外交は北朝鮮に負けた

(野村邦丸)北朝鮮は核を保有して、その気になればいつでもアメリカ合衆国に届く様なICBMあるいは潜水艦発射の SLBMを持っているということで保険にしたい。同じテーブルにアメリカ出てこいと。アメリカが金正恩体制を認めるなら、北朝鮮はアメリカへ攻撃しませんよ。じゃアメリカは手を打とうかという。これに対して日本は絶対にやってはいけないとアメリカ、イギリス、フランスに対しても働きかけしてますけれども。

(佐藤優)日本はICBMだけをやってはいけないということじゃなくて、核とミサイル全部やらないと言うことですよ。 ゼロにしろってことですよ。アメリカも一応ゼロにしろと言っているわけですよね。

(野村邦丸)無理?

(佐藤優)…無理。これは戻れるところを越えてしまった。だから本当に私も嫌ですよ。こう言ったというのは。負けを認めることだから。これ3回の裏だどすると、この野球の試合は3回の裏は負けた。

だからこの先を考えないといけないと思いますよね。

北朝鮮の核兵器に対抗、現実的な日本核武装「非核1.5原則」

 

(野村邦丸)野球は9回まであるとして、まだまだ試合は続くとみてらっしゃる?

(佐藤優)試合続きます。どんどん。次に続くのはアメリカがどういう交渉するかっていう事なんだけれども、北朝鮮ミサイルの精度が悪くて間違えてグアムの島に当って人が死ぬなんて言うのはもう戦争の可能性出てきますよ。

(野村邦丸)人命が脅かせられたら。

(佐藤優)そうしたらアメリカ内政要因でやらなければなりますからね。

(野村邦丸)アメリカの国民世論がふざけるなってことになりますよね。

(佐藤優)戦争の場合アメリカ人が韓国に今20万人ますからね。アメリカ人数千人が死ぬ可能性あります。これもまたトランプ政権の大変な危機になります。

そうではない場合には、先ほどみたくICBMをなくすことによって手打ちをする。パキスタン化ですよね。要するに核兵器と中距離弾道ミサイルまでは持ってるけども、それは構わないってことになると思うんですよ。

そうすると日本がやることは、おそらく非核三原則の「持ち込まない」は外して2原則にしてアメリカの核を持ち込ませるという考えが出てくると思うんです。

(野村邦丸) これ石破茂さんが議論を始めた方がいいといってますよね。

(佐藤優)ただしこれは意味がないんです。どうしてかと言うと、アメリカは核兵器を外国のどこに配置してるか公表しなのが国策だから。そうすると非核2原則では無理で、非核1.5原則という発想が出て来るんですよね。

(野村邦丸)どういうことですか。

(佐藤優)北朝鮮の周辺において、日本はアメリカと核の運用を同時に行う。具体的には事実上、日本国内の陸上基地の核ってのは考えらないんですよ。日本は狭いですからね。北朝鮮に全滅させられる危険性がありますから。そうすると潜水艦になる。潜水艦に海上自衛隊の人間も乗って、その潜水艦の核のボタンは日本の総理大臣も押せるという仕組みにする。すなわち核兵器の共同運用ですよね。

よく飛行機でコードシェア便て飛んでるじゃないですか。

(野村邦丸)航空会社と同じですね。

(佐藤優)あれと同じ様な核のシェアという方向に向かってくる可能性があります。

これについては国民的な議論が色々出てくると思うんです。ただ外交安全保障の専門家達の文法に即すとこうなってくる。

ここのところに進んでくると国内的に何処を母港にするのかとか国内的なコストが非常に大変。通常考えると横須賀と佐世保になります。そうしたら横須賀と佐世保はまさに核攻撃の標的になるって事ですから、その地元はどういう風になるのかと。

また今度は沖縄の何処かへ持っていけとなったら沖縄の分離につながる可能性ありますからね。

(野村邦丸)国内問題になってきます。

(佐藤優)ただ議論か出てくるって言うことは、専門家として言わないといけなんですよ。

北朝鮮の体制崩壊は、ソ連崩壊と同じ手を使え

ここまで聞くとこの世の終わりみたく聞こえるでしょでしょ。私はそう思ってないの。これも反発をを受けることを覚悟して、でもあえて言うんだけども、北朝鮮に経済的な形で、ビジネスの論理で進出して行くんです今、北朝鮮の労働力は恐らく1日の賃金200円から300円ぐらいだと思う。労働力の質は非常に良い。しかも IT産業や製造業者、アパレルなんか対応できる。そうすると北朝鮮の人たちが働いてお金を稼いで、米やパンを買うことができる。運動靴も将軍様から一年に一回子供たちがもらうんじゃなくて、自分のお金で買うことができる。そういうような形において自分の労働で欲望を実現していく、生活を向上していけるようになるとみんな面従腹背になるんです。政権の言うこと聞かなくなる。

 

(野村邦丸)表面的には従っていても関係無いと。

(佐藤優) 個人の生活を重視する事が出来るようになる。そうすると独裁者も国民の総意の下では核を使うとかエキセントリックな事を出来ないんです。それから日本との経済関係がすすむと日本を攻撃する合理性がなくなるんです。

攻撃するってことは相互依存があるから自分たちにとってマイナスになると。

結局、ソ連が崩壊したのも西側との関係が改善して西側の企業が入っていた、物が入ってきて国民の欲望の水準が変わった事なんですね。

文化大革命の頃の中国はそれこそ赤軍派なんかが応援してたわけですからね。その中国は今いろいろ問題があるにしても、外国の政府を転覆させるような事はしないでしょう。これは正に抑えられない食欲と一緒なんです。抑えられない人間の欲望、これを刺激していくことなんですね。そのためには経済なんです。

だから北朝鮮との関係は、アメリカは正常化するんですから日本も正常化して、今いる拉致問題の被害者も実態を明らかして帰還させて、やれることをやると言う形で、北朝鮮の構造を変えていく。10年から20年を見て中長期戦略を国家として立てないといけないと思うんですね。

(野村邦丸)野球でいうと3回の裏の時点では負けてるけど、このあと5、6、7回で終盤の8回ぐらいでそういう形ができるのであれば最終的な勝利ってのはこっち側だと。

(佐藤優)そういうことです。西側の文明を共有するところにおいて、今までそれで勝利してきてますから。それから北朝鮮に生きている民衆の力、大衆の力を軽視したらいけないんですよ。北朝鮮の普通の人たちも喜怒哀楽があるし、自分の子供の将来のことをみんな願ってる。おじさんおばさんは年を取ると介護の事を心配する。我々人間の感覚は一緒なんですよ。ただ、ああいう政治体制の下にある。それを解きほぐしてあげることをする戦略。それによって、核はあっても使えない様にする。

それを次の段階では核廃絶に向けていく。こういう段階的な戦略を国家として組まないといけないんですよね。

 

(野村邦丸)この問題をもう一つ。そうなってきた場合の北朝鮮は、中国やロシアにとっても好都合と言うことですか?

(佐藤優)もちろん好都合です。北朝鮮核廃絶をするならば、それは中国とロシアとも、アメリカとも核廃絶の方向に向けていく。そう人類を向けていかないと。核兵器が発展しすぎることによって、本当に偶発核戦争で自滅する可能性あるんです。封じ込めることはできるはずなんです。そこの理想は捨てたらダメですよね。

(野村邦丸)今迄の韓国のアプローチの太陽政策とは違う、したたかな太陽政策をしべきだということですか?

(佐藤優)太陽政策というよりも私はリアリズムだと思います。第二次朝鮮戦争を起こすと200万人以上死ぬ。日本においても少なくとも私は数千人死ぬと見ている。なぜなら横田に朝鮮国連軍の後方司令部があるから日本も戦地なんです。

そういったことを考えた場合に、この戦争を回避しないとならないって言うのは至上命題だと思う。それによって短期的に金正恩は高笑いするでしょう。はははお前らと。しかし最終的に彼は経済をマネージする事はできない。今、封鎖されてる状況にあるから、その中において若干の配給をするだけでも国民は喜んでる。それで平壌に極端に富を集中させて、とにかく平壌に行ければいいって言う形での一つの出世コースを作ってる。でもその背後においては本当に苦しい状態の地方が有るんですね。ところが工場が進出し、民衆が自分たちの力で物を買うことができるとなってきたら。これでソ連でそれが始まったのが1987年なの。コルバチョフが登場して2年で。1989年には共産党の言うこと誰も聞かなかった。1991年はソ連が崩壊した。

(野村邦丸)金王朝は一番そうなってほしくない。

(佐藤優)そう考えるんだけども、いくらマネージしよう思っても金日成や金正日がやっていた、そこそこの緊張で押さえておいて、水準が低くても自分たち自力で食べいくという路線と違いますからね。ミサイルと核の開発でどれだけのお金を傾斜生産してるか。民衆の生活は厳しくなってる。しかしショーウィンドウとして見せるのは平壌だけですからね。それ以外の所では民衆は本当に疲れ切っている。

その疲れ切ってる民衆て言うのは、実は北朝鮮の構造を変えるカギになると思ってるんです。

(野村邦丸)北朝鮮の国民ですよね。

(佐藤優)本当に強い政治が出てくるんだったら、現実を認めて妥協しないといけないです。とにかく朝鮮戦争を避ける。それから偶発的な核戦争の可能性を高めることはやめる。今交渉すれば水爆の小型化は止めることができると思う。

だがら条件闘争ですよ。核を認めると。その段階に入らないといけないという現実と、抑止としては非核1.5原則にすれば SLBMで十分。

(野村邦丸)潜水艦によるミサイルですよね。

(佐藤優)日本の総理大臣が核のボタンを持つという仕組みは日米同盟の真価がかるわけです。そこまでアメリカを譲歩させられるかどうか。でもNATOはそれに近いと僕はみているんですけどね。

〈書き起こしおわり〉

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